Amazon Prime Videoに石つぶてというテレビドラマが追加になったので、視聴しました。
このドラマは一昨年、ハワイから帰る便の中で視聴しました。
往復で見ていたら全部見ることができたんでしょうが、行きは気がつかなかたんです。夜のフライトだから、寝ている時間がほとんどなので、動画をそんなに見ることもありませんでしたし。
帰りに、しかも途中から何となく観始めたらぐいぐい引き込まれてしまいまして、到着時間から考えて全部は無理と、途中からちょいちょい早送りで、それでも最終話までたどりつけませんでした。
帰ってから探したんですが、動画視聴は見つからず、心の中で引っかかっていました。
primeで視聴できるようになったので、ダウンロード、通勤時間はこれに費やすことにしました。
最初は観ていない回だけと思ったのですが、1年半以上も前に一度見ただけ、しかも途中から飛ばしている部分もあるので、最初から見ることにしました。
石つぶてとは
石つぶてとはWOWOWオリジナルドラマで、外務省官僚の不正を暴こうとする警視庁捜査二課の刑事を主人公としたノンフィクションに近いフィクションのドラマです。
山一證券倒産の裏で最後まで闘い続けた社員たちの軌跡を、緻密な取材を重ね、著書としてまとめたノンフィクション作家・清武氏。彼が新たな題材として選んだのは、2001年に発覚し、政官界を揺るがした「外務省機密費詐取事件」だった。警視庁捜査二課に属する“石つぶて”たちが、組織に抗いながらも掘り起こしたこの事件の真相とは―。“三悪人”と呼ばれた外務省役人たちが起こした衝撃的な悪事とは―。
〜Amazonプライムビデオ説明書き〜より転載
ドラマ「石つぶて」
主人公は佐藤浩市扮する木崎刑事。誰とも組もうとしない木崎刑事と、新しく彼の上司となった江口洋介扮する斎見刑事、ニ課をまとめる萩原聖人扮するちょっと気弱そうな東田課長。捜査側はこの3人を軸に回っていきます。
連続ドラマW 石つぶて ~外務省機密費を暴いた捜査二課の男たち~ DVD-BOX
こちらはDVDですが、かっこいいですね。
対する外務省官僚は北村一輝扮する真瀬和則。
仕事はできるけど、ノンキャリアの彼は公費で購入した高級ワインや海外のブランドものをキャリア官僚に上納すると同時にちゃっかり自分のものも確保、部下にも分けるという、公私混同のお金の使い方をらする人物。
その彼が、最初は2億という金額を横領しているのでは?あるいは賄賂を受け取っているのでは?という疑惑から始まるこの事件。
官房機密費、また外務省から内閣府に上納されていた機密費、裏の裏金を20億円も横領していた…
真瀬を調べ、追い込んで行く過程は見応えがありました。真瀬が横領したことを認めた時に言った「しゃべれば殺される金」の正体が裏の裏金を突き止めるまでは、結論が解っていても面白かったんですね。
おそらく事件そのものが尻すぼみだったんだろうけど、ドラマも尻すぼみ。
真瀬は領収書を偽造して外務省からお金を騙し取った詐欺罪で裁かれることとなります。
そして、捜査の中心だった木崎刑事は左遷。それでも定年まで勤めた木崎と真瀬の再会でドラマは終わります。
今となっては裏の裏金も表に出ているらしいです。そう言えば民主党が政権を取った時に何かそんな話しがあったような気がします。
そんなお金が政治には必要なんだろうなぁと思ったような気がします。それは官房機密費のことだったと記憶していますが、ネットで検索すると、官房機密費ではなく、裏の裏金の存在をみとめたという記述もありました。結局、よく覚えていないんです。官房機密費のことはワイドショーでみたように記憶していますから、ワイドショーで紹介されたのなら、フルタイムで働いている私が詳細を見ているはずもありません。
私の記憶はともかくとか、せっかくのドラマが尻すぼみたら感じた理由はこの裏の裏金の存在が今ではあって当然だったお金だからなのかもしれません。でも個人的には途中からいろんな疑問が出てきて。
三つの疑問
真瀬の動機
「しゃべれば殺される金」と解っていて、何故それに手を付けたのか?
真瀬はキャリア官僚にお金や物品を渡していたけど、キャリア官僚、ひいては外務省を守るため(?)そのことは認めなかった。それほど外務省職員である自分に誇りを持ち、最後までキャリアの関与を認めなかった彼が何故その金に手を付けたのか?
何故、彼はその金を自由に使えたのか?
確かに領収証が無くても使える金かもしれないけど、20億円という金額は半端じゃない。それほどの金を横領できたのは何故なのか?
そもそも何故その金を託されたのか?
ノンキャリアの彼、あるいは彼らに何故そんな秘密中の秘密である金が託されたのか?
そんな疑問は何ひとつ解決してくれないままドラマは終了しました。
平成に作られた、沖縄サミット以降の話しなので、そんなに昔のことではないのですが、昭和の話しでした。携帯はあるけどスマホじゃないとか、料亭で会合や海外の土産が高級ワインやブランド品なんてバブル時代な感じもありました。バブルの恩恵を受けていない身としては、そんなこともあったのか…という感じしかなかったですね。
原作「石つぶて 警視庁二課刑事の残したもの」
ドラマ石つぶての原作があるので、それも読みました。
ドラマは昭和な感じですが、こちらは更に遡って戦後からスタート。
原作は本名で書かれているので、最初は誰と誰を結びつけたらいいのかこら始めました。
ドラマとの違い
ドラマでは斎見が二課に転属になったところから始まっていますが、原作では転属し上司になってから何年か経っています。
ドラマでは最初は斎見との協力を拒んでいた木崎ですが、原作では最初から協力しています。
事件に取り組み始めた時から信頼関係が構築されていたようです。
東田二課長はあんまり出て来ません。
ドラマでは上からの圧力で横領ではなく詐欺として立件しますが、原作では立件しやすい詐欺事件にしようと捜査員が決めています。
またドラマで真瀬を自白させるのは木崎刑事でしたが、実際の取調は別の方がされたようです。
真瀬の動機
原作には詐欺事件の動機が軽く書かれていました。
遊興の金が欲しかった。一度手を付けると引き返せなくなった。
んー…何かあたり前過ぎてつまんない。
ドラマでは真瀬はかなり悲惨な覚悟でキャリアを守っている印象でしたが、実際にはどうだったのかな?とも思いました。
お金を託された理由
お金は託されてはいなかった。ただ機密費がじゃぶじゃぶに使えることを知っていただけ、って感じです。
お金を自由に使えたのか?
自由に使えたというより、管理が杜撰。うちの会社も割と緩々かなと思いますが、そんなレベルではありません。普通は領収書無し、メモだけで何千万円も支払えないですよ。それがまかり通る世界だっただけでした。
それでも残る疑問
読後感じたことは本当にみんな知らなかったの?ってことでした。
ドラマでは真瀬がキャリア官僚に取り入るために掛けマージャンでわざと負けて、その穴埋めに後輩官僚にもお金を渡したりしていました。原作では逆でキャリア官僚の所まで集金に行っていたようでした。この人はお金に対する執着心が強かったのかもしれません。
でも、それでもです。
何千万円ものお金を数年に渡って支払っていたなんて、本当に?と思ってしまいます。この人が全部自分で使っていたんだろうか?上司は、キャリア官僚は全く知らなかったのだろうか?
そんな疑問を残したまま、読み終えました。
石礫
題名の石つぶては「せきれき」とも読みます。意味は石ころ。小さな石ころ。
「歴史に残らない、無名の士にもならないそんな石ころ。警察官とはそんな存在なのだろう」
と本には書いてあります。
確かに歴史には残らないけど、こうしてノンフィクションとして取り上げてもらえる存在。
立場を変えてみれば、石礫にもならない一般市民からすれば、警察官とは国家権力そのものにも感じます。
国家権力って、怖いです。
でも、その国家権力にある意味守られて毎日の生活を送っている私たち。
国が無ければこんなに呑気に毎日を過ごすことは出来ない。そのために必要かどうかはわからないけど、巨額な機密費も存在するんだろなぁとこれを書きながら思いました。